カテゴリー「建築行脚」の18件の記事

ロンドン建築

ロンドンでの講演を終えた後、というか正確には前後の日程を使ってロンドン建築巡りに。
ロンドン市庁舎やミレニアムブリッジ、大英博物館などの幾つかのノーマン・フォスター作品や、リチャード・ロジャースのロイズ・オブ・ロンドン、チャンネル4、といったもはや定番のロンドン現代建築を見て回る。その他最近日本でも話題のザハ・ハディドによるアクアティクス・センター(ロンドンオリンピック会場)、ジャン・ヌーベルのOne New Change、ヘルツォーク&ド・ムーロンのラバン・ダンスセンターやテート・モダンなども回る。テート・モダンは同じくヘルツォーク&ド・ムーロンによる増築工事の真っ最中でなかなか見応えがあった。
その他もちろん伝統的な英国建築も見て回った。またモダニズムの建築も見たいと思っていたので限られた時間の合間をぬって行ってきた。
そのひとつがロイヤルフェスティバルホール。1951年竣工ということで築60年以上。音響の悪さからの悪評を払拭すべく最近大改修が施されたのだが、それでもイマイチの評価とのこと。にもかかわらず建築的価値が認められて国宝級の保存指定を受けている。解体、建替え好きな日本では考えられない。近年、大阪でもよく似た名前のホールが建て替えられたしね。
古き良きモダニズムにテクスチャーの優しさが添えられて何とも心地よい空間であった。どことなくアアルト的な印象も、と思って調べたら設計者のレスリー・マーティンはアアルトの影響を受けていたのだそうな。納得。
もうひとつはやや郊外へ出向いてアレクサンドラ・ロード・エステートを見た。1970年竣工の集合住宅。地域的に低所得者層や移民のための住宅のようだ。ここはかなり良かった。
人工地盤上に設けられた広場を挟むように水平方向には長屋形式に住戸が連続し、垂直方向には段上に積層されている。人工地盤下は各住戸のための車庫がある。
訪れた時間のせいもあるが、各住戸からは夕食の支度のいい匂いが溢れ、夕陽の射す広場では所々で様々な人種の子供たちが一緒になって遊んでいるという、建築にとって豊かな状態を見ることが出来た。共用部分でコミュニティを促す作り方は日本でもよくある手法だが、期待外れなことが多い。それに対してここではとてもうまくいっている気がした。
時間を経てこそ、その建築の評価が問われることを実感する体験であった。
後でわかったことだがここも保存指定を受けているとのこと。良い建築をそのまま残していくという意識が薄い我が国にとってはなんともうらやましい限り。

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天津出張

JIAの交流イベントの件で天津へ出張。
ついでにその近くにある山本理顕氏設計の天津図書館へ。
この辺りは文化エリアとなっていて、美術館なども隣接しており、近くには高松伸設計の天津博物館もある。

文化エリアに入るとまず驚くのはそのスケール感。歩いてもなかなか目的の建物に辿り着けない。おまけにPM2.5の影響かその目的の建物はもやがかって見える。
図書館そのものも、その広場と同様、スケール感が狂ってしまうほどに巨大だ。

ここでは建物と広場との関係性を改めて考えさせられた。
あきれるほどに巨大な空間や圧倒的な量感を許容出来るだけのく空洞があればそのバランスはいい具合に保たれる。実際、ここにいてもそう嫌な感じはしないし、自分が小さくなったような違和感を覚えるだけ。心地悪いわけではない。
個人的嗜好もあわせて言えば、むしろ心地良い。

狭い敷地に容積いっぱいの住宅を建てるという日本の住宅市場に毒されてしまっていたのかも知れない。そういう意味ではいいリフレッシュになった。空気は汚いが。。

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小篠邸

安藤忠雄設計の小篠邸がギャラリーとなって一般公開されるというので早速行ってきた。
建築への道を志すようになった学生の頃に幾度となく写真と図面を見ていた建築を実際に見ることが出来たことは感無量であった。
それは思ったよりも小振りで心地良いスケール感。床の仕上げなど、部分的にオリジナルからは改装が施されていたのが少々残念ではあったが。。。
それでも空間の質のようなものは時間を経ても変わらないのだということを実感するには充分な体験だった。

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フェスティバルタワー/大阪弁護士会館

KIAの釜山建築家会のご一行様が今年度交流事業についての会議をするために来日された。せっかくなので会議以外の余時間に最近の大阪の建築を見て頂こうと、最近出来たてのフェスティバルタワーと数年前に出来た大阪弁護士会館を日建設計の設計担当の方にお願いして案内して頂いた。フェスティバルタワーは僕もまだ入ったことがなかったので、これもJIAの国際委員をやっている役得ってことで。

大阪弁護士会館はこれまでにも幾度か行ってはいたが、直接設計に携わった人から話を伺えるのはよい体験だった。
フェスティバルタワーは新生フェスティバルホールを見る機会に恵まれた。
特に低く長いエスカレーターをくぐり抜けた後に広がるホワイエは圧巻であった。

いずれも設計統括は江副敏史氏である。組織事務所ではあるが、江副氏の個性が特に素材の使い方に表れている気がした。
これだけ大規模にもかかわらず人の手による暖かみがある。やりすぎると田舎臭くなるだけだがその力加減が秀逸だ。見習うべき所が多い。

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姫路文学館

姫路の現場のついでに安藤忠雄氏の姫路文学館に寄る。
1991年の竣工。南館は5年後の1996年竣工。予備校時代に招待者に紛れ込んで本館の内覧会に来た記憶がある。
80年代〜90年代前半の安藤作品はやはりキワモノである。正直言って最近の氏の作品にこのような狂気は感じられない。
本館のキワモノぶりに感心してると南館の無名性は何とも言い難い。五感に響いてくるものがまるで違う。5年の差でこれだけ変わるかと疑ってしまう。そう言う意味でここでは安藤建築の変移が感じ取れる。
もちろんその後の安藤作品にも優れたものは多い。ただその狂気振りはこの時代に及ぶことはない。それは具体的な作品の良し悪しではない。安藤忠雄が神格化されてきたのはこの狂気があった故だと個人的には思っているので今後の安藤建築についての期待は薄くならざるを得ない。

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吉村篤一氏自邸

建築家・吉村篤一氏のご自邸を拝見させて頂く機会を得た。偶然にもこの数週間前に氏の最新作の住宅を見る機会に恵まれ、奇しくも40年の隔たりのある処女作と最新作とを比較することが出来た。両作品には共通するものが感じられたがそれは特に意識されたものでもないだろう。それこそが建築家としての作家性であり個性なのだと思う。

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廃墟

南港に行く用事があったので久しぶりに安藤さんの旧ライカビルがその後どうなってるのかを見てきた。
インターロッキング敷の外構部は多くの雑草に覆われ、なんだか草原の中にあるような様相。使われなくなった建物はなんだか物悲しく、恐らく傷みも進んでいるのだろう。

しかしながら、当時の安藤建築の中ではかなり大きな部類に入るこの建築、やはり細部を見ていくと今の安藤建築にはない緊張感が見て取れる。それ以前の小粒の作品でギリギリにまで研ぎすまされた感性がこの規模において細部にまで行き渡っている。大規模なものに慣れてしまう以前ならではの精度の追求。
当時の経済情勢の影響もあるだろうが、この緊張感が今の安藤建築には感じられなくなってしまった気がするのは僕だけだろうか。。

とにかく解体されることなく新たな命が吹き込まれることを望む。

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大阪富国生命ビル

ドミニク・ペロー氏設計の大阪富国生命ビルの内覧会に行く機会を得た。
地下4階地上28階建。文字通りのスカイスクレーパー。低層部はガラス面に角度がつけられ、光を多様に反射しつつ特徴的な表情をつくる。裾野が広がる大樹をイメージした造形らしい。

こういう超高層ビルはなんといってもそのフォルムが最大の特徴となる。都市の景色の一部にもなるだけにそのデザインは重要だ。
ここでは単調になりがちなガラスのカーテンウォールに少しの角度をつけるという、そのやり過ぎていない具合がとても良い。

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内部のインテリアは無垢のフローリングや樹木のプリントをあしらったガラスなど、いわゆる今風エコ仕様。無難と言ってしまえばそれまでだが、地階から続くアトリウム空間は圧巻。

最後は屋上のヘリポートにも上がらせてもらう。
地上132mの世界。もしここがグラウンドレベルならばどんなだろうか、なんてちょっと想像してしまった。

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少し前にソウルへ

ちょっと前の話だがソウルへ行った。
そこでいくつか現代建築を見てきた。

まずはザハ・ハディドの東大門デザインプラザ・パーク。東大門運動場跡地にコンベンションホールや博物館などの施設を備えたデザイン関連の総合施設として計画されているもので、まだ工事中ではあるが、一部は完成して既に稼働している。

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ザハの作品としては以前にシャネル・モバイルアートを見ただけで、建築を実際に見たのは初めてだったのだが、その有機的とも鋭利的ともいえる造形は想像以上に素晴らしかった。特にこういう大規模なプロジェクトではその造形が生きてくる気がする。伊東豊雄氏のアルゴリズム的手法でも、それに見合うスケールの話を以前に聞いたことがあるが、ザハの手法にも同じようなことが言えるだろう。

建物の外にはこれから取付けられるであろう複雑な形状のガラスが搬入されていた。
採寸だけでも大変だろうなーなんて思いつつ現場での苦労も垣間見れる瞬間であった。

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次に見たのはサムソン美術館Leeum。
マリオ・ボッタ、ジャン・ヌーベル、レム・コールハースのコラボレーション。私的にはレム・コールハース棟が最も良かったかな。まぁそれぞれの美術館としての性格も多いに関係しているので一概には比べられないが。

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しかしまぁ三者三様というかほとんどそれぞれの建物に関連性は見られないが、それでも適度な距離をおいて配されているせいもあってか何の違和感もない。変に調和を取ろうとすると余計におかしいだろう。唯一エントランスホールは3つの美術館をつなぐ空間であるが、ここはマリオ・ボッタ棟の求心的なヴォイドによって彩られており、他の2つの美術館をうまく繋ぐことに成功していた。

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外回りのサイン。3人それぞれのアイデンティティを素材で表している。判りやすい。

他にもいくつか回ったが続きはまた今度。。。

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やっと見れた

ICU長田直之氏の最新作「Yo」。
オープンハウスの時には結局行けず、後日長田さんに別の機会に可能であれば見せて欲しいとお願いしていたのだが、ようやく念願が叶った。
過日にYoの設計のプロセスを聞き、ちょうど建築系ラジオでもそのオープンハウスの様子を聞いた後に見に行ったので、充分すぎる予習をした上で見学させて頂いた。

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長田さんらしく、建築家の恣意的な要素は一切なく、ある一定のルールに沿って構成されたヴォリュームはそのプロセスを聞くとやや形態的操作の感が強かったのだが、内部に入るとこの建築の主題はやはりその空間にあるのだと理解した。それぞれのヴォリューム同士が接する開口部の寸法が絶妙で、それが大きな要といった印象。

ちょうどこの前日に、長田さんを始め多くの方々に僕自身の設計手法について色々とご意見を頂いたところだったので、そんなことも思い出しながら長田さんの考え方を改めて聞くことができた。

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